丙さん夫婦は、年相応の物忘れや体の衰えはありますが、特段の異常もなく元気に生活しています。ただ、頼れる子どもがいないため、万一認知症になった場合の生活や、夫婦が共に亡くなったときの葬儀や遺品の整理などを心配していました。万一の時にも親族に頼ることを最低限にし、可能な限り事前に準備しておきたいとの希望もありました。丙さん夫婦の相談を受け、任意後見制度の利用を検討することになりました。数度の話し合いの結果、今回は、夫婦二人で元気に生活できる間は「見守り契約」で様子を見て、足腰が弱り銀行に行きづらくなった場合などには「任意代理契約」でその時に必要な範囲で司法書士が事務を行う。認知症など本人の判断能力が衰えた場合には「任意後見」をスタートさせ裁判所の監督の元で司法書士が生活をサポートして行く。夫婦二人ともが亡くなった場合には、「死後事務委任」で納骨や遺品の整理についても司法書士が関与するということになりました。万一の場合には必要な範囲で専門家が関与するということで、丙さん夫婦の今後の生活に対して安心できる体制を整え、親族に迷惑をかけたくないという希望にも沿える形になったのではないかと思います。
相談事例
老後の不安に備えた事例
成年後見制度利用の事例
ケアマネジャーのAさんとソーシャルワーカーのBさんは、認知証が進んでいる甲さんを受け入れてくれる施設を探していました。というのも、甲さんは病気で倒れているところを発見され病院に運ばれ一時入院していましたが少し体調もよくなり、24間お世話をしてくれる介護施設で生活できれば安心であるとAさんとBさんは判断したためです。ところが、甲さんには身寄りがなく財産関係も不明なため、どの施設も受入れに消極的にならざるを得ません。そこで司法書士に相談した結果、家庭裁判所に成年後見人選任の申立てを行い、裁判所から選ばれた後見人が甲さんの身上看護と財産管理を行った結果、施設と無事に入所契約を結ぶことができました。
権利書を失くした事例
乙さんは、同居している娘のCさんにそろそろ自宅を譲りたいと考えています。Cさんもそのことには、同意しています。ところが、大事にしていたはずの権利書がどこを探しても見当たりません。贈与を原因とする名義変更には、権利書が必要になります。そこで司法書士に相談した結果、本人確認資料により権利書に代わる本人確認情報というものを司法書士が作成し、無事に名義を変えることができました。